国内外で画家として活動している小林舞香氏の自らプロデュースする舞台「春夢共鏡」がHYPER JAPANステージにて、海外では記念すべき初披露となった。今回のキャストは、この舞台の演出を担当している阿比留大樹氏、青井美文氏、そして高島洋樹氏の3人で、3日間で6ステージをこなした。
小林さんは「解放」をテーマにアクリル画で独自の世界観を追求し続ける一方、
昨年より「受動」的であった姿勢から「能動」的に自らのアートを発信する事にもチャレンジし始め、舞台プロデュースは正に彼女にとって、新たな「能動」的アートの表現方法の1つなのである。
「春夢共鏡」のブースには様々なアイテムを販売。壁にはアクリル画が飾られ、
ボディペインティングされた役者たちの写真も飾ってあった。
来客たちは、彼女の幻想的で美しい絵柄や扇子や風呂敷に興味を示していた。
自分の絵柄のTシャツを着た小林氏はブースに来る客に丁寧に風呂敷の使い方を説明したり、日本の文化を海外に広める事にも抜かりはない。
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【Special Interview】
絵画のテーマ「解放」から生まれる舞台とは。
そんな彼女に今回の舞台についてインタビューをさせて頂いた。
(F:FolkVisual Japanスタッフ M:小林舞香氏)
F:今までにロンドンに来られた事はありますか?
M:ロンドンには2015年から度々来ていまして、まず、最初は何も目的もないまま、ただ絵を描くためだけに来ました。
イギリスの文化に触れて、絵画として刺激を受けるためだけにです。それから個展活動を始め、ロンドンの人たちと交流するようになり2年くらいになります。
F:絵画から舞台美術やプロデュースすることになった経緯を教えてください。
M:丁度、一年くらい前に(2017年11月)ロンドンのコロンビア・フラワーマーケットで個展をしたんですね。
そこのギャラリーを選んだ理由はたくさん人が来るので、私の絵もたくさんの人が見てくれるであろうと。
でも箱(建物)の中なんですよ。箱の中で絵を飾って待つだけなんです。ちょっと外でチラシを配っても、みんなふ~んって感じで、それがすごい悔しくて。それから、待つだけの受動的なものではなくてもっと能動的に自分のアートを発信していきたいっていうところから、絵柄を使った服を作ったり、ダンスにしたり、パフォーマンスと絵のコラボレーションという発想が生まれ、今丁度1年後なんですよ。それを再現している形です。
F:丁度11月はお誕生日でらっしゃいますね。
M:そうです、誕生日の時には毎年思い出します。その時の悔しさと、来年の誕生日も今回の悔しさがあるから、次はその悔しさをリバースしようと!反省してまた新しい試みをすると思います。舞台にしようと思ったのは、受動的というか、待つだけのイベントじゃなくて、個人イベントにしても、もっと能動的なもの、絵画としてもやって行きたいなという気持ちで始めました。
F:今回花魁を演じる青井美文さんの振り付け、舞台への思い入れはいかがでしょうか?
M:実は青井さんは私の絵のファンでいてくれていたんですね。2013年か、2014年頃から毎回個展に来てくれていて「いつか私とコラボレーションしたい」と言ってくれていて、そこからの関係です。彼女が好きな絵が私の好きな絵であり、なんか、こう、水脈が一緒なんですね。彼女に全部任せると、同じ世界観で作ってくれるんです。
F:お互いの持ってる世界観やセンスが同じなんですね?!
M:ええ。分野が違っていてもパッと選ぶものが同じって、結構、大事なことだと思うんですよね。
色合いや音楽やなんでも。例えば私がパンクを選んで、彼女が全く違うクラシックを選ぶという感じではなく、パッと同じものを選ぶっていう、そのセンスが信じ合えているので彼女に任せています。
F:阿比留大樹さんの演出、振り付けについてはいかがでしょうか?
M:阿比留さんに関しても全面的に信頼しています。
彼はまだ26歳で、私がプロデュースしているこの舞台「春夢共鏡」夏の初舞台が初演出だったんですね。
でも、彼が浅草中心にずっと舞台をやってきた俳優さんなので、私の持っていないものを彼は持っていますし、磁石のように人を吸い付けるような人柄なのでたくさんの人脈もあり、色々な事をまとめてくださるチームリーダーとして任せています。
浅草は花魁の発祥の地であり、吉原があって、江戸のいなせ。花魁を世界に発信するっていう時に、新宿でも、渋谷でもなく、浅草で初めて公演するっていうことが大事だと思いました。
F:高島洋樹氏のアクションについてはいかがでしょうか?
M:高島さんと知り合ったのはこの1年です。同じく夏の「春夢共鏡」が初めての出演だったんですが、すごい力強くて。私の絵は結構繊細なタッチなのですが、私の絵の衣装を着てもらうとそれが彼にマッチし、自分の中で新しい表現になっています。私は男性を描かず、女性ばかりなので、だから男性で作品を作るっていう意味では、彼みたいな男性らしい体型というのは、新しい表現であり、ダイナミックな動きも美しく、本当に有難いですね。
F:舞台をプロデュースする際の衣装や音楽についてのこだわりなどはいかがでしょうか?
M:音楽もやはりオリジナルで書き下ろして頂いています。舞台に関しては、音楽あっての振り付けであり、音楽はダンスに重要なもので、誰に任せるかというのは難しく、重要なんですが、作曲を担当されたスタッフの方がこちらの要望にとても細かく対応して下さり、とても作りやすかったですね。
今回のHYPER JAPANでは、他の曲も使っていますが、花魁が踊る曲は「春夢共鏡」からの曲なので、是非聞いて見てください。
そして、いかにも「和!」という曲と、ロックや他の和ではない要素も入れています。
その丁度良いバランスがまとまりよくできたかなと思っています。
M:花魁は地球の打掛を着ていますが、『彼女たちの閉じ込められた人生を歴史的背景からの「解放」、そして世界へ』というコンセプトから、花魁をモチーフに世界に行こうと思いました。
F:HYPER JAPANのようなイギリスで日本の文化を紹介するイベントをどう思いますか?
M:とても魅力的なイベントだと思います。実は画家として活動をしていた頃から認知していましたが、その時はあまり自分が参加するイメージが湧きませんでした。でも今回のように花魁をモチーフに使った表現のパーフォーマンスを披露するには、素晴らしいプラットフォームだと思いました。自分個人のイベントで13万人も集めるなのでとても難しいので(笑)。
ブースの前のエリアで今朝パフォーマンスを披露しましたが、朝の早い時間でもあっという間に150人くらい集まったんです!
私たちの(日本での)1回のステージ公演は200人なんですが、それくらいの人が集まったので、とても素晴らしいプラットフォームだと思います。
それと、会場をぐるっと廻って思うのは、「和文化」と言っても一言ではまとめきれないという事です。
改めて「和」とは?と考えさせられます。来場者は何を求めているのか?青井さんの花魁に集まり、写真を撮ったりする人を見れば歴然で、普段見たことのないもの、珍しいものを求めていますね。
そして、ここをゴールとは考えず、今回の経験をプラットフォームにどう今後、生かすかを考えていかないといけないと痛感しました。
初日の舞台で日本人と笑いのツボが海外の皆さんと違うということが分かり、その次からはその部分を削り、いきなりパフォーマンスに入るなど臨機応変に対応しましたが、国内外での表現の仕方が違うとこうことをたった1日だけでも学べました。
F:今後の目標を教えてください。
M:大きな目標としては、オペラ座くらいの大きい会場でのパフォーマンスです。
今回は本当に最小の規模で行いましたが、出演者の数、衣装の種類も増やし、ファッションショーをベースにした、ダンスパフォーマンスを開催したいと思っています。オペラ座でやることがそう難しいと思わないのは、実際にやっている方がいるので、無理ではないと思っています。今のところ、それが大きい夢で、
その間のいくつもの階段を登っていくという感じで、海外を周り経験値を積んでいきたいと思っています。
大きな夢があるからこそ、今回のような舞台も1つ1つこなしていき、いろいろな関係を作っています。
夢は口に出して言っていると必ず叶うと思っているので(笑)
そして、来年2019年7月にパリで行われるJapan Expoにも出演します!是非、いらして下さい。
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【HYPER STAGE REPORT】
多くの観客がすでにHYPER JAPANステージに集まっていた。
中には座るところがなく、仕方なく立ち見をしている人もいた。
司会者が次のパフォーマンスの紹介をすると、ステージに花魁姿の青井さんが登場した。
それを見るや観客からはうっとりとしたため息にも似たような感嘆の声が漏れた。
ゆっくりとした和の音楽に乗せ、上手(かみて)、下手(しもて)の舞台袖からそれぞれ阿比留さんと高島さんが現れる。
金の扇子を美しく動かし、舞う3人。尺八の音と和太鼓の音が始まり、だんだんと速いテンポで力強い音楽になると、舞台中央の阿比留さんは華麗な剣術と扇子を使ったダンスを披露。
そこへこの舞台のプロデューサーでもある小林舞香さんの絵がプリントされた大判の旗を持った高島さんが現れ、今度はロック調の音楽に合わせ旗を回しながらのアクロバティックなダンスを披露した。
この大判の旗さばきは簡単そうに見えるが、旗そのものの重さや、バランス、
常に旗が棒に巻きつかないようにするなどの高いテクニックを必要とされる。
再度、花魁が刹那的な琴の音色と共に登場し、華麗な金扇子さばきを見せてくれ、音楽は陽気なお祭りのような曲に変わり、日本舞踊の要素とモダンダンスを融合させたような動きを見せてくれた。
三味線の音に英語での忍者の説明が始まり、阿比留さんと高島さんが、同時に宙返りをし、観客のど肝を引いた。観客の誰もがこのアクロバットを予測していなかった。一瞬、一体何が起きたか分からないほどだった。
二人のトリッキングをしながらの殺陣は見事であり、息を飲み二人から目が離せない。もう少し見ていたと思っていると、ステージ照明が暗くなり、二人の刀がライトセーバーのように光りだし、ダイナミックなアクロバット殺陣が続いた。
会場から惜しみない拍手が起こった
シーンが変わり、花魁役の青井さんが登場し、男性陣二人が舞台を去り、観客はステージ上の青井さんに注目していると、突然両サイドから阿比留さんと高島さんが舞台と観客との間で、宙返りのアクロバットを披露!会場はまたもやその意外性に驚き、多くの人が「あ!写真を撮り損ねた!」と悔しがっていた。
彼女のチャーミングで繊細なダンスと二人の男性の力強い動きがとても対照的であり、それがうまい具合に噛み合っていた。最後は始まりと同様に3人が金の扇子と優雅に舞い、3つの扇子が中央で1つになるところで、舞台は終わった。音楽と振り付けや静と動の動きのバランスが良く、また次々と変わっていくシーンなども絶妙に工夫されていて、素晴らしい作品であった。
パフォーマンス終了後、総合プロデューサーである小林舞香さんが登場。司会者は英語で彼女を紹介、彼女も英語で観客に向けてメッセージが送られ、素晴らしい舞台の幕が閉じた。20分というパフォーマンス時間は「春夢共鏡」の多様な魅力を十分にイギリスの観客に堪能してもらうには短かったかもしれない。しかし、小林氏の独自のアートの世界と個々のダンサーの実力は十分に伝わり、「春夢共鏡」のイギリス進出は大成功だったと言えよう。
「春夢共鏡」
公式HP ➡ http://shuntomo.com/
Twitter ➡ https://twitter.com/shuntomo0821
Instagram ➡ https://www.instagram.com/shunmutomokagami/
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今年から幕を開けた、小林舞香氏総合プロデュース「春夢共鏡」プロジェクト。
次回はパリでのJapan Expoでの公演との事だが、日本国内ではきっとメンバーによる”路上パフォーマンス”等、何かしらの動きがある可能性があるので、Twitterなど要チェックして欲しい。
今後もFolkVisual Japanでは小林舞香氏、「春夢共鏡」の動向に注目していきたい。
※関連記事※
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取材/Chikako Osawa-Horowitz
Osawa Horowitz Media Productions Limited
www.osawahorowitzmediaproductions.com
www.j-news-uk.com Editor, Web Magazine
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