20190521【ニコニコ超会議2019】松竹超劇場『超歌舞伎交流祭2019』Report!

平成最後のニコニコ超会議の松竹超劇場は、演劇と映画の融合がテーマ。
レトロな雰囲気の中にも、劇場公開予定の松竹映画ポスターが壁一面に貼られ、超歌舞伎仕様の初音ミク、かぶきにゃんたろうのスタンディが置かれており、今昔が融合したブースとなっていました。

【 超歌舞伎の裏側 】

今回、4月28日(日)の10時50分から行われた「超歌舞伎交流祭2019」を取材してきました。こちらは、『今昔饗宴千本桜(はなくらべせんぼんざくら)』で「初音の前」を演じる中村蝶紫さん、「青龍の精」を演じる澤村國矢さん、脚本を担当した松岡亮さんによるトークショーです。
中村蝶紫さんは、松竹ブースを見て「藤がすごいいいですね。モダンな造りが芝居小屋のようです。」と感想を述べられました。

4年目となる今年の超歌舞伎は、「ニコニコ超会議2016」で初演し好評を得た『今昔饗宴千本桜』が装いを新たにして上演されました。
蝶紫さんは1年目の思い出を振り返り、「一番大変だったのは、1日3回公演だったことですね。」と当時を回顧されました。
澤村國矢さんは、「初めてのことばかりで、どうやって初音ミクさんとお芝居をしていこうかということから始まりました。お稽古を進めていくなかで、台詞のタイミングなどがなかなかあわず、大変だった記憶があります。しかし、同時に楽しみでもあって、本番では上手くはまったので達成感がありました。」と安堵の表情が伺えました。

松岡さんは、「初演のときだけでなく、今もそういう時があるのですが・・・。初音ミクさんは大女優なわけで、ご自分の”間”できっちりお芝居されるので、いろいろと難しい部分があります。」と苦笑い。
また、今年の『今昔饗宴千本桜』と、2016年版との違いについても。「お話の大枠はほぼ同じですが、大きく変えている箇所がいくつかあります。例えば、今回は、美玖姫の母親である「初音の前」を登場させました。また、超歌舞伎のメインは何といってもコメント演出ですので、コメントを募る場面がさらに盛り上がるように、竹本の語りを入れるなどしました。加えて、「桜の色の灯火を」という台詞には、会場の皆様も参加できるように”桜色のサイリウムを振ってください”というメッセージを込めています。」と、これから超歌舞伎を見るお客様に向けて、今年ならではの魅力的な演出を語ってくださりました。

続いて、蝶紫さんに師匠であり、超歌舞伎主演の中村獅童さんの印象を聞いてみると、「格好いい。それにお洒落だし、優しい。僕のほうが年上ですが、何でも相談できる優しい人です。」と笑顔で話されました。
超歌舞伎のお稽古について伺うと、「テクニカルなことをやってくださる方が沢山います。一番違うのは、暗くしないと映像が見えないので、暗い中で稽古を行うことですね。」とのこと。

「いつもの歌舞伎の稽古よりもなごやかなムードかな。1年目は確かに初めての挑戦ということもあり、ピリピリしていましたが、スタッフ周りもほぼ4年間一緒なので、もうファミリーみたいな感じですね。製作者も出演者もファミリーです。」と、松岡さんのお言葉からチームワークの良さが伺えました。

また、「実は、(超歌舞伎の)稽古期間は1週間ぐらいですかね。」という國矢さんの言葉には、ブースに詰めかけたお客様も驚きを隠せませんでした。

「とはいえ、様々な準備をかなり前からやってます。オーバーに言えば1年がかり。ある種、花火職人さんが花火大会のためにすごい準備をするのと同じように、1年がかりで試行錯誤を繰り返します。超歌舞伎は、この2日間のために打ち上げるお芝居ですね。」と松岡さん。超歌舞伎の作品を1本作り上げるためには、CGや映像といったデジタル演出の制作の仕込の準備期間に加え、生身の歌舞伎俳優さんとの融合も大変なことなのだと感心してしまいました。

【 拵えの実演!! 】

今回のトークショーの目玉は、國矢さん演じる「青龍の精」ができるまでの実演です。歌舞伎の化粧方法、衣裳の着付けを間近に拝見できるのは、滅多に無い機会。始まる前からワクワクが止まりません。

國矢さんは、「青龍の隈取は、オリジナルで作らせていただきました。龍の隈取ということで、『日本振袖始(にっぽんふりそではじめ)』というお芝居から取り入れました。」と説明されました。

拵え(こしらえ)とは、幕内(まくうち)用語で化粧、かつら、衣裳を身に付けて歌舞伎の役の扮装をすることを指す言葉です。
歌舞伎俳優は基本的に自分で舞台の化粧をするのが決まりで、最初は誰も上手くできず失敗ばかりだそうです。先輩に教えていただいて、写真集などを見て真似たり、勉強することで、自分なりのお化粧を見つけていくとのこと。

まず、稽古着に着替え、鬢付油を額から顔や首にかけてまんべんなく塗っていきます。そして、石練(いしねり)という硬い鬢付油で眉毛を塗りつぶしていきます。これが相当痛いらしく、眉毛が抜けてしまうそう。
次に羽二重(はぶたえ)をつけます。羽二重はかつらの下につけるために、かつら下地とも呼ばれており、かつらと地毛の生え際の違和感をなくすために用いられています。羽二重にサージカルテープをはり、これを固定していきます。
ドーランを塗り、水で溶いた白粉(おしろい)を顔や襟に塗っていきます。そしてスポンジで水を取り除き粉だけを残します。
昔は鉛の入った白粉を使っていたそうで、鉛毒の害もあり体にはよくなかったものの、お化粧ノリはよかったという小話もしてくださりました。

ここからいよいよ隈取(くまどり)をとりはじめました。隈取は歌舞伎独自の化粧法。人間の顔の血管が浮き出た様子を表現した化粧法と言われています。隈取は、荒事を生み出した初代市川團十郎が考案したと伝えられています。基本的に正義の味方は赤の隈取、敵役は藍色の隈取、妖怪変化は茶色の隈取というのが決まりごと。『今昔饗宴千本桜』の忠信が赤の隈取をとっているのは、こうした決まりごとをふまえたものであるわけです。
隈取は筆を使う方、手で描く方とそれぞれの俳優さんの好みによって違うそうです。

今回、國矢さん演じる「青龍の精」は悪役なので、青色がメインになります。 額目や鼻、口のまわりに隈をとっていき、これを手でぼかしながら細かく調整し、グラデーションで立体感をつけていきます。

そして、目を強調するため目張りを入れ、口角を下げるように口のまわりに紅色を塗り、黒色で迫力をつけます。 そうすると、悪役のような顔に近づいてきました。

青龍の衣裳の着付けは、衣裳さんの力を借ります。舞台の最中に衣裳が着崩れてしまうのを防ぐために、袴の紐などをしっかりと締めていきます。見ている側にも、これでもかというくらい力がこもっているのが伝わってきました。
最後に、かつらをかけると、メイクにぴったりとはまり、その凛々しい姿は迫力満点!

拵え中は撮影が禁止だったので、出来上がった姿はこちら。

衣裳は歌舞伎の一つの見どころであり、纏うと役になりきれるのだそうです。
國矢さんは少し緊張されていたようですが、「時間内にお客様の前で無事に拵えが終わり、安心しました。この拵えで、マイクを持つのも照れます…。」と安堵した表情を浮かべていらっしゃいました。撮影タイムではサイリウムを持ってポーズをとってくださり、そのまま懐にしまおうとするなどお茶目な姿も見ることが出来ました。
そして、國矢さんはなんと、1時間後に始まる超歌舞伎にこのまま出演されるということでした。

初めて間近で見る歌舞伎俳優の拵えの様子に、立錐の余地がないほど集まったお客様から感嘆の声があちこちから聞こえました。稽古着姿から舞台に立つ「青龍の精」へ変貌する姿はとても繊細で、美しいものですね。

【超歌舞伎が京都で】

「これまで幕張メッセでしか観ることができなかった超歌舞伎を、南座新開場記念として、日本最古の歴史を誇る劇場である、京都南座で今年の8月に上演します。もちろん『今昔饗宴千本桜』がメインの演目ですが、京都は歌舞伎発祥の地でもあるので、それにちなんだ『當世流歌舞伎踊(いまようかぶきおどり)』を上演します。初音ミクさんが「出雲のお国」、獅童さんがお国の恋人である「名古屋山三」を演じます。こちらは、舞踊の一幕になります。
また、『超歌舞伎のみかた』については、超歌舞伎のテクノロジーを解説して、お客様にも少し体験していただきたいと思っています。
そしてさらなる試みとして、リミテッドバージョンと銘打ち、獅童さんが演じていらっしゃる「佐藤忠信」役に國矢さんが、國矢さんの「青龍」役に超歌舞伎の立廻りを毎回作っていただいている、獅童門下の中村獅一さんに挑んでいただきます。」と、松岡さんから京都南座で行われる超歌舞伎公演についての詳細が告げられました。

トークショーの最後には、登壇者の皆様が口を揃えて、超歌舞伎を観て興味を持ってもらい、実際に歌舞伎座にも足を運んでほしいと話されていました。 歌舞伎は敷居が高いものだと思っていましたが、超歌舞伎は初心者でも十分に楽しめる内容。これを機に、私も歌舞伎座に足を運んで、歌舞伎に触れてみたいと思いました。

八月南座超歌舞伎の詳細は、こちらのサイトからみることができます。➡ https://chokabuki.jp/minamiza/

【 粋なボディペイントに挑戦 】

実際の舞台で使用される「(株)三善」の化粧品で施す、本格的な隈取の絵柄のボディペイントを試してみました。ボディペイントは顔か手のどちらか選べたので、今回は手に施してもらいました。今年は型の種類が増え、一本隈、火焔隈、藍隈の3種から選ぶことができました。
「青龍の精」の隈取を見ていたので、青を基調とした藍隈を選択。
●まず、白粉を塗って、基本となるテンプレートを使い、青色で形を作っていきます。

●次に黒色で迫力をつけます。

●最後に赤色を入れて仕上げていきます。

●ブラシで粉を塗って出来上がり!

隈取はクレンジングで簡単に落とすことができるので、手軽に楽しめるのもいいですね。機会があれば、顔全体に隈取をやってみたいと思うほど、ワクワクするボディペイントでした。

●松竹株式会社公式サイト➡  https://www.shochiku.co.jp/

《関連記事》※皆様の舞台での雄姿はこちら!


文/濱田圭子 写真/皆美光
©濱田圭子:PROFILE
1978年2月23日 青森県青森市出身。2005年よりフリーライターとなる。
現在はWEBメディアのディレクションやライティング講座などを行っている。
Website ➡ https://www.f-house-style.com/

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