年号が令和に変わった元年・2019年も残すところ数週間となった師走の8日(日)、今年7月に北海道で開催された「ミズアジアンビューティーコンテスト2019」(アジアとしての美を体現に焦点を当てたビューティーコンテスト)にて見事グランプリを受賞された、城勝流城勝吟道会2代目宗家・恵聖氏のイベント『吟×水墨画』が神保町の「アート・スペース蔵」にて開催されました。
とてもアットホームな雰囲気の中で開催されたそのイベントの模様をReport致します!恵聖氏の詩吟へ思いを込めるその表情一つ一つにまで、注目です。
【恵聖「ミズアジアンビューティー2019」グランプリ受賞記念イベント『吟×水墨画』】
2019年12月8日いよいよ開演時間となり、頭上には「ミズアジアンビューティー2019」グランプリの美しいティアラが輝き、萌黄と黒色の御着物姿の恵聖氏がゆっくりと現れ、まず一曲目「敷島の」を見事に歌唱。
まずはMCにて御本人より「ミズアジアンビューティー2019」グランプリ受賞のご報告を皆様にされ、盛大な拍手にて祝われます。恵聖氏は今回の「ミズアジアンビューティー2019」への挑戦理由について、
「このコンテストは”アジアの美を体現出来る女性”のコンテストですので、私も日頃より詩吟・舞をしており、詩吟の宣伝にもなるかと思いまして出場させて頂きました。そしてまさかのグランプリを頂く事が出来ましたので、日頃応援してくださる皆様方へ今年のうちに御報告させて頂きたいと思いまして、この『吟×水墨画』イベントの開催の運びとなりました。」
今回の恵聖氏ご本人による自主企画は実に約5年ぶりという事で、以前より使わせて頂きたいと考えていたという、音の響きも良く、東京大空襲の戦果にも耐えた築92年の歴史あるこちらの「アート・スペース蔵」で念願の開催に至ったとの事。
今回お箏を弾いてくださる野口 国蘭先生と水墨画を描いてくださる阿部 城山先生は、共に恵聖氏が日頃お世話になっている方々との御共演という事で、大変貴重で素晴らしい時間となったのではないでしょうか。
野口 国蘭先生 阿部 城山先生
恵聖氏は日頃はテクノサウンドに乗せて吟じる事が多く、最近の詩吟は箏や尺八、オーケストラバージョンなどもあるそうですが、詩吟は本来無伴奏で吟じるもので、2曲目の「事に感ず」はシンプルに箏と吟と書でパフォーマンスをされました。
詩吟の内容に併せてその場で水墨画を描かれる城山先生。「事に感ず」に於いては、
「蓮の花を描いたのですが、それぞれの花を象形文字風に描きました。蝶は花が咲けば寄ってきますが、枯れてしまえば寄って来ません。ですが、つばめは主人が貧しくなっても必ず毎年返って来てくれます。」
ここで、枯れてしまった黒い蓮の塊を見せてくださったり、国蘭先生の作られた切絵の蝶が付いた扇をひらりひらりとするなど、ユニークに作品を紹介してくださいました。
次に日本の象徴である「富士山」が神秘的な曲と箏の音にのせて披露され、恵聖氏の美しく伸びやかな声が会場内に響き渡ります。
●詩吟ユニット”xiè(シエ)”「富士山」
曲の終わりと共に出来上がった水墨画には、龍が住むと言われる白雪の「富士山」と龍の絵の象形文字で現わされた「龍」の文字が描かれました。会場2階には本日吟じられる曲に併せた阿部 城山先生の水墨画「富士山」などが飾られていました。
恵聖氏「何故、私が書や水墨画のパフォーマンスの方と御一緒するかと云いますと、詩吟は元は漢文で難しい言い回しなので、詩吟を知らない方にどうすれば詩吟の意味が分かってもらえるのかなと思った時に、前回は書とコラボさせて頂いた際は、私が吟じたものをその場で書いて頂き、その漢字を見ると私たちは何となくイメージが出来るんですね。今回は水墨画という事で、絵に描いて頂く事でやはり難しい言葉の意味もイメージで伝わります。
私の根本としましては詩吟をもっともっと沢山の方に知って頂きたいと思っておりますので、そういった意味でのコラボレーションであり、そして、次の「童謡」もその一つになります。「童謡」に詩吟を挟むことで、意味を解って貰えるのではと思いまして、「童謡吟」を制作し広めていく活動もしております。
次はその中から「月の砂漠」をお送りいたします。」
この「童謡吟」を子供たちと歌うと、「お母さんが知ってた!おばあちゃんが一緒に歌ってくれたよ!」と、子供たちにも大変評判がいいそうです。ワークショップをする際は子供たちに和歌を書いて貰いそれを歌にすると、子供たちならではのとても面白い歌詞も飛び出してくるのだと云うエピソードも!今後もこの活動ももっと広めて行きたいと恵聖氏は語り、次に”童謡を詩吟風に唄ってみたら”と云う事で「赤とんぼ」を披露。
続いて、過去にカラオケバトルでも歌われたこともある「花」と「糸」の2曲を披露してくださいました。
阿部 城山先生作「赤とんぼ」
恵聖氏は最近は海外で公演をさせて頂く事も増えてきたという事で、海外の人にもっと詩吟を解って貰える様に、誰でも知っている「Mission: Impossible」のテーマ曲に「川中島」をのせた「川中島×Mission: Impossible」詩吟を披露。MCでは終始にこやかに和やかにお話されていましたが、この時は今までとは表情が一変し、扇を手に凛々しく舞い・吟じてくださいました。
●詩吟ユニット”xiè(シエ)” 「川中島 × Mission: Impossible」
右/ 阿部 城山先生作「川中島」
こちらの「川中島×Mission: Impossible」はやはり海外では反響があるそうで、他にも「Hotel California」や 「アナと雪の女王」、はたまたジャズにまで詩吟をのせて試してみているそうです。今後の「詩吟×有名曲」の新作楽曲もとても楽しみですね!
続きまして、再び城山先生が御登場され水墨画と共に「寒梅」を披露。
出来上がりました絵は、
「「梅」という文字は左側の木が男性、右側の母が女性を表しており日本のアダムとイヴと云われていますので、それを梅の木で表現してみました。(※咲いている花の色も赤と黒で表現されています。)下は雪灯篭です。」
と、城山先生が説明して下さいました。
イベントも終盤に差し掛かり、これから披露する詩吟「静夜思」は、ご自分が好きな李白が故郷を想って書いた詩である、と恵聖氏。
「詩吟は昔の詩人が書いた詩を現代の私達が代わりに表現する訳ですが、これを聴くことで私達が月や田舎の景色を見て故郷を思い出すのと同じ様に、1000年も昔の時を超えても李白も同じ様に故郷を思い出していたのかな。と感じながら聞いて頂けたら、とてもロマンチックだと思います。」
と、思いを綴ってくださいました。
そして、曲が終わり出来上がった水墨画を見て恵聖氏はびっくり!会場からも笑いが!パンダが笹を食べながら故郷を想うと云う、最後の一枚にまで城山先生のお茶目さがたっぷりと表現された水墨画が皆様に披露されたのでした。
「遥かに思う 白髪」の歌詞で始まる「桂林荘雑詠諸生に示す その二」。恵聖氏が演歌歌手時代を振り返り、故郷に残した両親に心配をかけた事がこの曲ととてもリンクしていて、
自分の故郷への想い、両親への想いの詰まった曲であると紹介してくださり、同時にこの様にアットホームな会場で歌う事がとても好きだなのだと、とても優しい人柄を覗かせていらっしゃいました。
ここで、改めまして今回の箏奏者の野口 国蘭先生の御紹介。会場の「アート・スペース蔵」のオーナーであり、現在はフリーの筑前琵琶奏者、他にも様々な肩書を持たれているという事に皆様びっくり!更に国蘭先生は現住職さんでもあるそうで、更に会場の全員が驚きを隠せませんでした。
今回せっかくお箏を弾いてくださっているという事で、敢えてお箏のみの伴奏で長めの一曲「静御前」が吟じられました。
そして、恵聖氏から最後に会場の皆様に向けて今回のイベントへご来場くださいました事への感謝御礼の言葉が述べられます。ここへ来て、実は数日前より咽頭炎の為、発熱をされていたと告白をされます。それを伝えられても皆さん信じられず、会場の誰も気付かない程のパフォーマンスを気丈に披露してくださいました事にびっくりしますと共に、会場のファンの皆様・関わられた皆様全員にその恵聖氏の美しい歌声と、厚い感謝の想いは確実に伝わったであろうと、しっかりと実感致しました。
最後は会場全体が一体となり笑顔で「ふるさと」を熱唱し、皆様と気持ちが一つになり、こうして、恵聖「ミズアジアンビューティー2019」グランプリ受賞記念イベント『吟×水墨画』は大成功で幕を閉じたのでした。
日本の伝統・詩吟を受け継ぎつつも、アレンジやコラボレーション、童謡吟など様々な形で広める活動をされている城勝流城勝吟道会2代目宗家の恵聖氏。その魅力的な歌声に是非触れて頂き、日本の伝統・詩吟の新たな世界を多くの方に浸って頂けたらと心より思います。
【出演者 Profile】
■詩吟『恵聖』
城勝流城勝吟道会2代目宗家。詩吟・剣詩舞の魅力を多くの方に伝える為に詩吟・舞踏アーティストとしてTV等のメディアや国内外の公演活動などで活躍している。詩吟ユニット”xiè(シエ)”のVocalも務める。2019年夏「ミズアジアンビューティー2019」にてグランプリを受賞。
Twitter➡ https://twitter.com/nohahiro4
Official Ameba Blog➡ https://profile.ameba.jp/ameba/nohahiro4
xiè HP➡ http://www.xie.tokyo/
■箏(山田流箏曲伴奏)『野口 国蘭』
東京生まれの神田っ子。中学生の頃より山田流箏曲・三弦・地唄を習い、歌舞伎座の舞台を始め大小のステージに出演。学生吟コンクール優勝。詩吟師範。現在はフリーの筑前琵琶奏者。
■水墨画『阿部 城山』
第1回日美展・秀作、 第18回国際公募 国際墨画会展・奨励賞、第19回国際公募 国際墨画会展・文化賞、その他入選多数。登山・百名山達成、詩吟・奥傳、登山や詩吟の経験を活かした繊細かつ大胆なパフォーマンスを披露する。
※今回のイベントでは1階にも阿部 城山先生の作品が多数飾られていました。
【会場「アート・スペース蔵」】
関東大震災後の復興建築として1927(昭和2)年に建てられた92年の歴史ある蔵。当時としては極めて珍しい地下1階地上3階の鉄筋コンクリート建築で、東京大空襲の戦火にも耐えた。天井が高くギャラリー・ミニライブ・イベント会場施設として素敵な空間です。
HP ➡ http://art-space-kura.com/
古く貴重な 可愛らしい 羽子板を持ちながら♪
【ミズアジアンビューティー2019】
2019年7月6日北海道ヒルトンニセコビレッジにて決勝大会が開催され、国内各エリアを通過したファイナリスト19名が、世界に向けて日本やアジアの美を発信していく、日本女性の輝きの祭典となりました。
●ミズアジアンビューティーとは
2018年のミセスジャパン日本大会時に同時開催された新しいページェント&ランウェイイベントです。未婚・既婚、年齢、身長、体重、国籍を問わず、出場資格は「アジアとしての美」を体現出来る事のみ。出場を通して、アジア各国との文化交流や、新たな学びと成長を生み出します。刻一刻と本化する美容・ファッションの流行と、自らのアイデンティティへの気づき。ミズアジアンビューティでは、日本・そしてアジアの美の『今』を表現します。
当日のランウェイでは、立ち振る舞い、歩き方、表情、出で立ち、衣装など全てを総合し、もっともアジアの美を体現していた方が選出されます。(本部概要抜粋)
HP ➡ https://www.facebook.com/Ms.AsianBeauty.Japan/
文・写真 / 皆美 光 Hikari Minami(皆々様が美しく光り輝きます様に)※恵聖様この度は取材させて頂きまして、誠にありがとうございました。心より、感謝・御礼申し上げます。
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