2019年、平成最後のニコニコ超会議。その中で生まれた「超歌舞伎」は今年4年目を迎え、ついに平成最後の公演となる2019年4月28日(日)16:00~の回を全員で見届けて参りました。
1つの時代が終わる今年の「超歌舞伎」の演目は、始まった原点に戻り「超歌舞伎」の記念碑的な作品である『今昔饗宴千本桜』を装いも新たに上演。
今回は2016年版との違いを少しずつ振り返りながらレポート致します。
『今昔饗宴千本桜』は古典歌舞伎を代表する名作のひとつである「義経千本桜」と、そして初音ミクの代表曲で、いまや国民的な楽曲といっても過言ではない「千本桜」の、それぞれの世界観をもとに融合し生まれた物語で、2016年初の超歌舞伎にて上演されました。
平成最後にこの記念碑的な作品を演じ、超歌舞伎は更なる時代の幕開けを迎えます。その幕開けを飾るべく今年の8月には初めて超会議を飛び出し、京都の南座にて「八月南座超歌舞伎」としても約1ヶ月上演されます。
●500年にむけて、飛翔する。日本最古のエンターテインメントの殿堂 南座●
歌舞伎俳優の中村獅童と、バーチャルシンガー初音ミクの夢のコラボ:伝統文化「歌舞伎」と、最先端技術「ボーカロイド」が融合した「超歌舞伎」が南座初登場!!➡ https://chokabuki.jp/minamiza/
【『今昔饗宴千本桜』】
2016年公演に先立ちまして、初の超歌舞伎という事で、歌舞伎の初心者でも分かりやすいように、中村獅童さんが丁寧に物語の説明をし、歌舞伎の演目中役者の屋号を呼び掛ける「大向う」の説明もされました。
《役者各屋号》
・中村獅童さん/萬屋 ・初音ミクさん/初音屋
・澤村國矢さん/紀伊国屋 ・NTTさん/電話屋
NTTさんの電話屋がこの時始まった事も懐かしさを感じます。
続いて2016年はオープニングは大正帝都の映像から始まります。
2019年は、まず最初に同じく大正帝都の映像に始まり、新な大正ロマン衣装の初音美來が美しいアクションで登場!靑音海斗も華麗に登場し2人のアクションシーンが見事に決まり、一匹の蝶が現れます。
舞台が明るくなり、中村獅童さんが登場。
2019年リメイクされた『今昔饗宴千本桜』を紹介し、「只今ご覧いただきましたのはその装いも新たな発端の場にござりまする。新しく生まれ変わった『今昔饗宴千本桜』を最後までごゆるりとお楽しみいただければ、この上無い幸せでござりまする。」と、挨拶し会場のお客さんを煽り、ミクさんを呼び込みます。
呼びこまれて初音ミクさんが登場。そして、2016年は「ボカロ曲と歌舞伎が平成の今の世で出会いましたこの舞台、最後まで高揚にご鞭撻のほど隅から隅までずずい~と乞い願い奉ります。」
2019年は、「平成最後の超会議で歌舞伎に初挑戦した記念作品の『今昔饗宴千本桜』に再び挑むことが出来ますのも、超歌舞伎をご愛顧くださる皆様方のお陰と厚く御礼申し上げる次第でございまする。」
とご挨拶し、回を重ねた事を実感致します。
2人の挨拶が終わると獅童さんが、「さて、皆さん盛り上がってますか?最後の一回です。」と、2日目の2回目の公演では更に感慨深く煽ります。そこで獅童さんは「一度やって見たかったんです。」と、画面の向こうのユーザーに向けて大声で煽り、画面いっぱいに「おーーー!」と言う言葉を振らせていらっしゃいました。
いよいよ本当に平成最後の超歌舞伎舞台の幕が明けます。
宙からSLが飛び込んできて疾走し、VOCALOIDの面々も出演の映像の中で役者紹介がなされます。格段に上がったこの3D映像のオープニングで、見ている人は直ぐに物語へと引きこまれていきました。
【初音の前 登場】
「初音の前様のおなり~」
物語の冒頭では、美しい桜の大木と中村蝶紫さん演じる初音の前が現れます。
【 美玖姫と白虎の再会 】
初音の前様が青龍に襲われ、桜が枯れてしまってから1000年の時が経ち、美玖姫と白虎が転生した佐藤四郎兵衛忠信がその桜の大木の下で出会います。
出会いの後、2016年は1000年前の白虎の昔語り、2019年は「千年の時を経て、」「千本桜の木の下で、」「再びこうして会えるとは、」「桜がつなげるこのキセキ、」「定めじゃなぁ。」と、2人の掛け合いその台詞一つ一つに2016年の表題「桜がつなげるキセキ。」と今年の「また逢いたい、桜がある。」へのオマージュがされています。
過去の青龍と白虎の闘いの映像。
脚本を手掛けた松岡亮さんが「今年は歌舞伎です。」と語られた訳は、一幕一幕じっくりと役者さんたちが歌舞伎らしい表現で演じられており、+新たに進化した美しい新映像でも魅せる所は魅せる内容になっていました。
懐かしむ2人の前へ青龍が現れた事で、佐藤四郎兵衛忠信が真の白虎の姿へと美玖姫は桜を守りし者へと歌舞伎の早着替え手法「ぶっ返り」を披露します。
【 青龍の精 登場】
澤村國矢さん演じる青龍の精が客席からゆっくりと登場。「紀伊国屋ー!」と大向う。美玖姫と対峙します。
青龍に力を貸す代わりに、桜を咲かせる事を願いとした美玖姫。それを叶え桜の華を再び咲かせた青龍でありましたが、華が幻と見抜かれます。
そこへ 美玖姫を助けるべく佐藤四郎兵衛忠信が再登場。青龍との見得の張り合いを存分に演じ、敵味方が入り乱れての大立廻りがなされます。
さらにテクノロジーが進化した「分身の術」により、白虎も靑音海斗も応戦致します。 ●参照➡ https://chokabuki.jp/2019chokaigi/
長い戦いの末、青龍の渾身の一撃によって倒れる佐藤四郎兵衛忠信。
美玖姫に勇気づけられ、会場の画面の向こうのニコニコユーザーに、会場のお客さん全ての人へ、その力を借りるべく、今までの公演の何倍ものエネルギーを込めて、皆様に言の葉の御力を頂ける様お頼み申します。
【桜の色の灯を 数多の人の言の葉を】
会場では目一杯の赤ピンク色のサイリウムが振られ、視聴者の言の葉が桜吹雪となり、舞台上の大画面に映し出された大きな桜に次々と花を咲かせ、全てのエネルギーが集まっていきます。
その色は会場全体が赤、白、ピンクと色取り取りで、これほど美しいものかと見惚れてしまいます。
そして、そのエネルギーが集まった時、会場に花吹雪が舞います。
佐藤四郎兵衛忠信こと中村獅童さんが桜色の刀を手にして観客を煽ります。
澤村國矢さんが客席後ろから登場。役者さん達も勢ぞろいをし、開場中を駆け巡り、会場のノリも最高潮!
モニターと客席と役者陣と全てが一体となり、開場ならではの美しさと壮大感!舞台上には金のすだれも降りてきます。
ふと、映像を通して見えるサイリウムのそのグラデーションさえもまるで桜の花弁の様!
お馴染みの数多の人の言の葉で全ては桜色に染められていきます。
この全ての人が一体となるこの演出は何度見ても、本当に美しい。
平成最後のこの煽りも「千本桜」の曲の一体感も、正にお見事としか言いようがありませんでした。
「ありがとうーー!」
一本の美しい大きな桜の木の映像が最後かと思えるほど、舞台の幕が閉じていきます。
その美しいまま終わり…かと思いきや、平成最後の超会議・超歌舞伎ラスト公演、簡単に終わるはずがありません。
中村獅童さん再登場!!その気合は今まで以上!
「いくぜーーーーー!!」
最後まで獅童さんらしく、歌舞伎者らしくど派手に煽り、本当にこの超歌舞伎を見た・参加した全ての人にとって、平成最後の超会議は素晴らしい思い出となったに違いありません。
CGの違和感を感じない程、4年間でその映像技術も格段に上がり、会場にいればその臨場感と、目の前の大舞台で繰り広げられる役者さんの生の演技と一体感、美しい舞台映像が見ることが出来、生放送で見てみれば、皆さんのコメントと一緒に放送ならではの演出もされていて、 生放送 でも会場でもどちらで見ても素晴らしく、感動してしまう「超歌舞伎」なのです。
令和元年となった今、この超歌舞伎『今昔饗宴千本桜』の公演を初めて行う、新開場記念の京都・南座で観劇してみるのもまた、一興なのでは無いでしょうか。
●500年にむけて、飛翔する。日本最古のエンターテインメントの殿堂 南座●
歌舞伎俳優の中村獅童と、バーチャルシンガー初音ミクの夢のコラボ:伝統文化「歌舞伎」と、最先端技術「ボーカロイド」が融合した「超歌舞伎」が南座初登場!!➡ https://chokabuki.jp/minamiza/
文/皆美光 写真/niconico official photos
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