今年11月のHYPER JAPANのステージは豪華な出演者が揃っていた。中でも宝塚歌劇団、第77期花組の男役スター・真丘奈央さんが2016年以来、このHYPER JAPANのステージに再び出演した。
司会者の簡単な紹介の後、「ベルサイユのばら」メドレーの「マリー・アントワネットの歌」の前奏が始まると共に、丈の長めの黒のジャケットと赤いスカート、黒のレギンスと黒いブーツという、男役でも女娘役のどちらでもこなせるような衣装で真丘さんが登場。ステージ上の彼女の出で立ちは誇り高きタカラジェンヌであり、歌唱力は今現在も衰える事なく美しかった。
「マリー・アントワネットの歌」に続き「オスカルの歌」も披露された。
そして、HYPER JAPANの来客の殆どが宝塚歌劇団を知らないという事で、真丘さんは通訳を入れながら丁寧に説明を始める。
「宝塚は女性だけの劇団であり、その半数が男役を専門に演じ、700名の団員が5組に分かれています。」
この5組は現在、花、月、雪、星、宙(そら)と、他に、そのどこにも所属しない専科とに分かれている。男性の役を「男役」、または女性の役を「娘役」と言い、身長、本人の希望を考慮しどちらになるか決められる。
「東京と大阪で5組が順番に一年中、常に公演をしています。ファンのお客様はその子供もそのまた子供もファンです。何代にも渡って、応援してくださる人が多いです。そのため東京も大阪も常にチケットは完売状態です。宝塚の公演チケットは入手困難であることでも有名です。
宝塚入団は15~18歳の4年間、4回入団試験を受けることができます。毎年千名以上が受験をしますが、入団は40名のみです。そのためかなりの難関となります。合格者はさらに2年間の厳しい訓練を受けたのち、ステージに立ちます。宝塚は結婚する際は退団しなければいけません。メンバーは30歳前後でやめていく人が多いです。
ファンは各組で主役を演じる男役を熱狂的に応援します。ですがその5組のトップスターたちも4、5年で退団していきます。どんどん入れ替わっていくスターのシステムが宝塚の人気が長く続いている1つかもしれません。
宝塚は1914年に始まり、なんと100年以上続いています。2014年には宝塚歌劇団は正式に日本の伝統文化の1つとして認められました。
ファンは男役に憧れを抱く人が多いため、ファンの夢を裏切らないように、男役を演じるメンバーは普段からパンツ(ズボン)姿です。スカートは一切履きません。舞台の下層にも工夫を凝らし、時には髭をつける時もあります。」
ここで「嵐が丘」の作品で真丘さんがレッドバトラー役を演じた時の写真を紹介。
「1年のうち、2500人収容の大劇場での作品が10作品あり、500~600人ほどの小劇場ではさらに10作品以上あります。その殆どが宝塚のオリジナル作品で、次々と新しい作品が上演されます。宝塚には専属の舞台作家、作曲家、演出家、オーケストラ、衣装、音響、照明、舞台装置、その他の舞台スタッフが所属しています。このように全て1つの劇団内で作り上げられている歌劇団は世界でも珍しいです。」
終始笑顔を絶やさず、全く宝塚を今まで観劇した事のない人にでも、とても分かりやすく説明をし、観客はそれぞれ「なるほど」と云う様な感心した表情であった。
そしてまた、歌劇団の代表的名曲を4曲続けて披露してくれた。
「すみれの花咲く頃」これは宝塚のテーマ曲のように歌われている曲である。元々は第2次世界大戦前のドイツ映画の主題歌「リラの花咲く頃」をフランスでシャンソン化して歌われている曲で、当時の宝塚歌劇団演出家・元理事長の白井鐵造氏が日本に持ち帰り詞をつけた。
他には日本物の作品からは「花の舞拍子」をうぐいす色の着物を羽織り、和を意識して熱唱。
そしてウィーンのミュージカル「エリザベート」から2曲を披露。
ミュージカル「エリザベート」は、宝塚では男役のトップを主役に置かなければならない伝統に則り、死神トートを主人公として上演されている。
真丘さんの澄み切った歌声はオリンピア会場に響き渡り、多くの観客を魅了した。ステージ後には、初めて宝塚を知った人や彼女の歌声に惚れ込んで、CDを購入し、サインや握手を求める人が後を絶たなかった。
真丘さんと一緒に写真を撮ったイギリス人に”宝塚を知っていたか”と尋ねると、
「日本には歌舞伎のように男性だけの舞台で男性が女性役を演じるのは知っていたが、今回初めて女性だけの歌劇団が存在することをしてって非常に驚いた!彼女の歌がとても美しかったので、是非一緒に写真を撮りたいと思った。」
と語ってくれた。もしかしたらミュージカルや芝居の本場、このイギリスでも宝塚は人気を集めるかもしれない。
■『真丘奈央』公式HP ➡ http://naomasaoka.happacircle.com/
取材/Chikako Osawa-Horowitz
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